東京高等裁判所 昭和54年(行ケ)171号 判決
一 請求原因(一)の事実(特許庁における手続の経緯。本願商標及び引用商標の各構成、各指定商品及び各出願日に関する事実を含む。)は、当事者間に争いがない。
二 成立に争いのない甲第一号証(審決謄本)によれば、審決の理由の要旨は、次のとおりであると認められる。
「本願商標からはその構成上「ストーク」との称呼も生じ、引用商標からはその構成上「ストツク」の称呼が生ずるが、両称呼は、ともに四音からなり、第一音、第二音及び第四音を共通にし、中間の第三音において、本願商標が「ト」の長音「ー」、引用商標が促音「ツ」の差異を有するものであるが、前者の長音は、「ト」の母音「o」の延長としての音で弱くひびく音であり、また、後者の促音は、後に続く音「ク」を発音する形をして一拍休止し、その前の「ト」音が強音となるものであつて、両称呼は、聴者をして強く印象させる語頭部の二音「スト」を共通にし、かつ、その「ト」音にアクセントがかかり、したがつて、両商標を一連に称呼するときは、たとえ中間の印象の比較的弱い部分にあたる第三音において上記の差異があるとしても、その差異は上に認定したとおりの微差でもあり、両称呼は、全体としての語韻語調が近似し、彼此相紛らわしいものといわなければならないから、本願商標は、引用商標と称呼上類似するものといわねばならず、また、本願商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一であり、本願商標の出願日が引用商標の出願日より後であることも明らかである。そうすると、本願商標は、商標法第四条第一項第一一号の規定に該当する。」
三 そして、前記争いのない本願商標及び引用商標の各構成、各指定商品及び各出願日により検討すれば、右に認定した審決理由の要旨のとおり認定・判断することができ、審決には、原告主張のような取消事由があるとすることはできない。
もつとも、原告は、本願商標において、「ト」の音にアクセントがあることを前提としたうえでその「トー」を発音記号で示せば、「<省略>」であり、「ー」が強音であることが明らかである、として、右「ー」を「弱くひびく音」ないし「中間の印象の比較的弱い部分にあたる」とした審決は誤りである旨主張するが、原告主張の発音記号によつても、本願商標の「ト」にあたる部分が「<省略>」であり、長音「ー」にあたる部分は「:」であるとみるべきものであるから、右発音記号からただちに長音「ー」を強音と断定することはできず、また、仮に音の強弱の面のみからみれば長音「ー」を「弱くひびく音」とするのが必ずしも妥当でないとしても、本願商標において、アクセントがかかる第二音「ト」の長音である第三音「ー」が、それ自体独立して聴者に強い印象を与える意味で「強くひびく」とみることはできず、この意味においては、むしろ、「弱くひびく音」とするのが相当であり、したがつて、審決に原告主張のような事実認定の誤りがあるとすることはできず、その認定を前提として両商標は称呼の類似するものとした判断は正当と認められる。
四 したがつて、審決には原告主張のような取消事由はないといわなければならないから、原告の請求は、失当としてこれを棄却することとする。